第1回目:山手線通話品質調査

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 記念すべく第1回目は、「もう一度山手線の通話品質調査をしてみようじゃないか。」ということになりました。これはかつて行った同様の調査に、誰もが多少の不満を持っていたという大きな理由があります。
 具体的には、アンテナの表示だけを1人で見ていただけの調査であったこと、データが無いためにそれを示せなかったことの2点です。まず携帯電話のアンテナ表示ですが、案外役に立たないことが多いです。3本なのにコネクションに失敗したり、0本なのに問題なく通話ができたりと、基準がイマイチ分かりません。それから1人で行ったことも少々問題です。見逃している部分が必ずあるでしょう。そして何より、データを示せなかったことで信頼をあまり得ることができませんでした。

 では、どのような調査なら良いのか?しばらくの話し合いの結果、"アンテナ表示だけではなく実際に通話状態でパソコンと接続し録音する"、"1人1台のパソコンと携帯電話を持つ"という2つの方向性が見えてきました。

 ここで、なぜ山手線であるのか疑問に持たれた方も多いと思います。これは、山手線が東京23区内にある主要な駅を繋ぎ、周辺の人口もビルも基地局数も多いからです。歩行で移動するよりも断然効率的に、連続的な電波状況を把握することができます。特にハンドオーバーは、静止状態では分かりにくい細かなエリアの穴を読み取ることができるのではないでしょうか。我々はこれまで「エリア調査」と「ハンドオーバー調査」を全く別のものだと考えてきましたが、品質の高いエリアは、結果的にスムーズなハンドオーバーを示してくれるはずであると、話し合いでは結論付けられたのです。

 この調査に関して、「通話を控えるべき日本の電車内でこのような調査を行うことに意味はあるのか?」という疑問が出てきそうですが、これは直接電車内での通話を想定した調査ではないことを改めて強調しておきます。

 今回の調査(2008年10月10日)では、山手線「池袋→渋谷」「品川→上野」を調査しました。さすがに1周している間ずっと通話しっぱなしにするほど通話料金をかけられないので、人口やビル、基地局数の多さを考慮してこの区間を抜粋しました。

 次に、調査に使った携帯電話はこちらです。

携帯電話会社 機種名 対応周波数 備考
NTTドコモ F905i UMTS/HSDPA(800/1,700/2,100MHz)
GSM(900/1,800/1,900MHz)
編集時にHPF適用
ソフトバンク iPhone 3G UMTS/HSDPA(850/1,900/2,100MHz)
GSM(850/900/1,800/1,900MHz)
ソフトウェアバージョン:2.1
au W41CA CDMA(800MHz)

 なお、参考程度にauの携帯電話でも同様の調査を行いました。

 調査データの録音は電車が動き始めると同時刻に開始し、ノートPCを使用します。(ただし編集の都合上、最初の部分と最後の部分が一部カットされています。)FOMAのみにHPFを適用したのは、音がかなりこもっていたからです。これはFOMAの回線が悪いわけではなく、F905i特有の問題のようです。

 では、さっそく結果の方を見ていきたいと思います。今回も前回と同様、各区間100点満点からの減点方式を採用します。減点の点数などは、次の表をご覧ください。

減点対象 点数 備考
音声の乱れ・短い途切れ -1点
通話音の無音状態 -1点×(秒数) FOMAの通話品質アラームも含む
コネクションに要する時間が長い -2点
再接続アラーム -5点 FOMA・iPhone 3G共に低音のアラーム
切断 -10点

 収録した音声データはステレオで、左がドコモのFOMA(F905i)、右がソフトバンク3G(iPhone 3G)となっています。

 まず、山手線の池袋―渋谷間の結果です。音声データはこちら(約10.5MB)です。 (※この区間は人的ミスにより、FOMAの録音作業が中断してしまったため、午後3時26分~同28分30秒までが全てカットされています。大変申し訳ありませんでした。)

 ここで、SoundEngineというソフトを用いて波形データを表示させたものを示します。

yama_ike-shibu.jpg

 <FOMAの結果>

番号 減点対象 秒数(回数) 再接続アラーム 減点数
通話音の無音状態 10秒 -15点
切断 -10点
コネクションに要する時間が長い -2点
音声の乱れ・短い途切れ 8回 -8点
  合計     -35点

 <ソフトバンク3Gの結果>

番号 減点対象 秒数(回数) 再接続アラーム 減点数
通話音の無音状態 4秒 × -4点
音声の乱れ・短い途切れ 4回 -4点
  合計     -8点

 

 次に、山手線の品川―上野間の結果です。音声データはこちら(約17.2MB)です。

 こちらもまた、SoundEngineによって波形を表示させました。

yama_shina-ue.jpg

 <FOMAの結果>

番号 減点対象 秒数(回数) 再接続アラーム 減点数
通話音の無音状態 8秒 -13点
通話音の無音状態 11秒 -16点
通話音の無音状態 20秒 -25点
切断 -10点
通話音の無音状態 9秒 -14点
通話音の無音状態 19秒 -24点
切断 -10点
音声の乱れ・短い途切れ 5回 -5点
  合計     -117点

 <ソフトバンク3Gの結果>

番号 減点対象 秒数(回数) 再接続アラーム 減点数
通話音の無音状態 11秒 -16点
通話音の無音状態 2秒 × -2点
通話音の無音状態 7秒 × -7点
音声の乱れ・短い途切れ 12回 × -12点
  合計     -37点

携帯電話会社 機種名 合計減点数 合計点
NTTドコモ F905i -152点 48点
ソフトバンク iPhone 3G -45点 155点

 以上のような結果となりました。

 えっと......。減点をもうちょっと小さい値にすれば良かったでしょうか?coldsweats02 (笑)

 FOMAは、"とにかく意地でも切断しない。"という印象を受けました。特に品川―上野では、「お、切れそうだな......長いな......って切れないんかーい!」という現象を何度も感じました。ぶっちゃけた話、ここまで長いと、あっさり切れた方が良いと思います。

 ソフトバンク3Gは、今回ずいぶん優秀な結果だったと思います。正直な話、調査開始当初は「iPhone 3Gだもんなぁ、大丈夫かなぁ。」というのが心境でした。なので、直前まで821SCとどちらを使用するか悩んでいたほどです。品川―上野で、音声の乱れや短い途切れが多かったので、こちらを改善していただければ、もっと点数は伸びるでしょう。

 ちなみにですが、auはやっぱりと言うか、一番優秀な結果でした。通話音質こそ他社に及びませんでしたが、切断は1度のみで、音声の乱れや短い途切れも少なかったです。

 NTTドコモはずいぶん基地局の数を増やしているようですが、どうも数ばかり打ちすぎて、基地局間の調節が上手くできない場所も多いのではないかと、今回の結果をふまえて推測しています。FOMAのネットワークは、静止状態であれば他社より安定した高い品質を得ることができますが、やはり全てが完璧であることは不可能なようです。何かを犠牲にしなければならないんですね。よって、あくまで個人的にですが、この調査結果は今後も変わらないと考えています。

 では、何か質問や意見などがあれば、どんどんコメントに書き込んでください。

 記念すべく第1回目は、これでおしまいです。

 (※auの録音データ・波形データは現在公開しておりません。収録時に奇妙な現象を確認しており、昨日KDDIに問い合わせを行いました。よって、KDDI側からの回答を待ち、これが確認でき次第の公開となります。あらかじめご了承ください。)

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さて、前回の記事でご紹介した山手線通話品質調査ですが、記事の公開直後からアクセス... 続きを読む

コメント(1)

インコさん、「バリいくつ?」へコメントありがとうございます。

記事、興味深く拝読いたしました。定量的な評価・分析、大変すばらしい物だと思います。FOMA網がハンドオーバーを苦手とするのは、定性的には私も感じてはおりましたが、実際に定量的にもその傾向が明らかになったことは大きな意義だと思います。FOMAは800MHzの再編が終了すれば、都市圏でもプラスエリアを使ってくるでしょうから、その後にもう一度同一条件の試験を行うことで、より興味深い知見を得られると思います。

この記事に大いに刺激を受けました。私も負けずに調査に励みたいと思います。

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このページは、インコが2008年10月17日 21:23に書いたブログ記事です。

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